流し撮りは写真に躍動感を与えるための手法で,プロの写真家には良く知られてる技術である.
しかし,初心者が撮影対象に合わせてカメラの設定をすることや,被写体を追いながら撮影することは簡単ではない.
そこで,本研究では,物体ごとにモーションブラーを付加する統一的なフレームワークを提案する.
提案手法では,ノイズはあるがブレのない画像と,ノイズはないがブレのある画像という,相反する2つの画像を入力として用いる.
提案手法により流し撮り効果を付加した画像の例
提案手法により流し撮り効果を動画に拡張した例
提案手法の流れ
動画に流し撮り効果を付加するために,以下の処理を行う.
まず,速いシャッタースピードでブレの無い動画を撮影する.
このままでは露出不足で暗く,ノイズを含む動画であるため,通常のシャッタースピードで撮影した高画質の画像を使い露出不足による低品質を補う.
これには,色補正手法と非線形フィルタを用いる.
動画に色補正とノイズ除去を行った後,撮影された色情報を最大限に活用するために,フレームを多重露光とみなし,ハイダイナミックレンジ画像合成を行う.
さらに,主成分分析により,前景と背景を分離する.そして,フレーム内のターゲットを追跡するオプティカル・フローを計算する.
このオプティカルフローは、背景に付加するモーションブラーの方向として利用する.
最後に,流し撮り効果を付加したフレームを得るために,マスクを適用した前景とモーションブラーを付加した背景によるアルファマッティングにより合成する.
提案手法の流れ
提案手法による流し撮り効果を付加した動画の合成結果
以下に,提案手法を用いた流し撮り効果を付加した動画フレームの例を示す.
本手法は,対象物を際立たせるだけでなく(上段),ユーザの好みに合わせてモーションブラーの量を変更することもできる(下段).
提案手法の応用例
Publications
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